- 「食べたお菓子くらい片付けて!」(指示、命令)
- 「そろそろ寝たら?」(提案)
私はずっと、子どもに何かを伝えるコミュニケーション方法はこんな「指示、命令、提案」以外は知りませんでした。
、、でもこんな「指示、命令、提案」の過干渉、過保護な子育ては不登校の原因になったり、子どもの自立心を奪う行為ということを私は娘が不登校になって初めて知ります。
じゃあ、どんな対応、対話で子どもと接すればいいの?
、、、こうやって、私は娘が不登校になって、悩み反省する中で「指示、命令、提案」以外のコミュニケーション方法を知ることができました。
娘の不登校は本当に辛い出来事でしたが、この知識は私にとって大きなギフトになりました。
なぜなら、「命令、指示、提案」以外の対応、対話をすることで、子どももだんだん自分で考えて動けるようになり、私も子育てが楽になってきたからです。
親子関係も今のことろ、良好です。
そして学校へ行けなくなった娘が学校へ行けるようになったのも、このコミュニケーション方法を知って、できる限り実践してみたことが大きなきっかけになったと思っています。
なので、今回は「子供の自立心を育てる親子コミュニケーション方法」について私が学んだことをお伝えしようと思います。
私が特に子どもとのコミュニケーション方法を大きく変えるきっかけになった本「親業」から、私なりにまとめます。
▼「親業」に関しては、別記事でもお伝えしていますので、ご興味あればぜひ▼
子どもと対話する時にまず考えたらいいこと
子どもと対話する時にまず考えたらいいことは、その状況が
- 子どもだけの問題
- 親である自分にも関わる問題
のどちらのケースに当てはまるか、ということです。
例えば、
- 子どもがお友達と仲良くしてもらえないと悩んでいる
- 子どもが体形で悩んでいる
- 子どもが習い事がイヤだと感じている
- 子どもが宿題をやりたくない、ダルいと思っている
といった場面では、親である自分には問題とはなりませんよね。
あせり、とまどい、心配、失敗など、人生にはいろんな問題が出てきますが、これらはすべて子ども自身の問題です。
一方、
- 子どもが食べたお菓子がリビングに散乱している
- 早く寝てほしいのに子どもが夜更かししている
という場面では、親である自分にも問題になってきます。
分かりやすく言えば、「子どもの行動で親である自分がイライラ、ムカムカを感じるケース」です。
目の前の状況が「子どもだけの問題か」「親である自分にも関わる問題か」によって、対話、対応の仕方が変わります。
「子どもが抱える問題」について対話する方法
「子どもが抱える問題」については、下記の3つのパターンのどれかで対話しましょう。
- はっきり何も言わない
- 子どもの話を促す
- 子どもの気持ちを推測して、その内容を子どもに伝える
では、詳しく説明していきます。
はっきり何も言わない
子ども「はぁ、宿題いやだな~」
親「ふーん」
というように、はっきりと何も言わず、あいまいな言葉で返事するという方法です。
例えば他には
- そうなんだ
- 本当に?
- へー
- なるほどね~
みたいな返事です。
親はついつい
- 「宿題しないと先生に怒られちゃうでしょっ」
- 「宿題くらいちゃんとやりなさいよ!」
なんて言ったりして、子どもの問題に干渉してしまいがちです。
でも、グッとガマンです(>_<)
そんなセリフは子どもに
- 親に批判された
- 自分は親に受け入れられていない
と思わせてしまうからです。
「何も言わない」ことは、子どもに「私はあなたの意見を受け入れています」と伝えることができるのです。
そして子どもは自分の気持ちを表現することを認められたと感じ、親と話をする過程で自分の気持ちを整理することができます。
気持ちを整理し、自分を見つめ直すことで問題解決にすすむ力も生まれます。
子どもの話を促す
子ども「はー。ピアノが楽しくなくなってきた」
親「そうなんだ。お母さんにもっと詳しく教えてくれる?」
というように、子どもがもっと話しやすくするような返事をする方法です。
このように話を促されることで、子どもに
- あなたがどう考えているか、本当に知りたい
- あなたの意見は人に聞かせる価値がある
- 私はあなたに関心がある
- あなたから何かを学べるかもしれない
ということを伝えることができます。
この方法は、①の「はっきり何も言わない」よりも、子どもはさらに心を開いて自分の意見や感情を吐き出すように勇気づけられます。
この方法も「はっきり何も言わない」と同じように、子どもは自分の気持ちを表現することを認められたと感じ、親と話をする過程で自分の気持ちを整理でき、さらに自分で問題解決に進む力を得ることができます。
この方法でも大切なのは、「親である自分の感情や思考を対話の中に入れない」ということです。
ひたすら子どもの意見を聞くことに徹します。
子どもの気持ちを推測して、その内容を子どもに伝える
子ども「あーあ、今度の担任の先生ってイヤなんだ。嫌いだよ。文句ばっかり言うんだから!」
親「先生のことでがっかりしているみたいだね」
というように、子どもが話す内容から子どもの気持ちを推測して、その内容を子どもにフィードバックする方法です。
この方法を、能動的な聞き方(アクティブリスニング)と呼びます。
前述した2つの対話方法より何倍も子どもが「自分は理解され、受け入れられている」と感じることができます。
子どもは親に
「こんなに自分は悲しくて苦しくてツラいんだ」
という気持ちを持っていることを分かってほしい、と思っています。
そして、
親が本当に自分の気持ちを分かってくれているのか
というのを知りたいと思っています。
この方法の「親が子どもの気持ちを推測し、フィードバックする」ことで、親は
「あなたの気持ちをちゃんと分かってますよ」
ということを子どもに伝えることができるのです。
子どもは親に気持ちを分かってもらえていると知ることで安心感を持ち、そこから動き出す力を得ます。
そして、子どもは自分で目の前の問題を解決する方法を考えるようになるのです。
水野達朗さんの著書「無理して学校へ行かなくていい、は本当か」の中にも、この共感姿勢とアクティブリスニングを親が身に着けることを勧めています。
水野さんが説明されているアクティブリスニングの方法は下記です。
- 子どもの言ったことを繰り返す
- タイミングに応じて要約する
- 子どもの気持ちを汲む
- 上記3点により、共感的に子どもを理解する
上記をもとにした会話は下記の通りとなります。
子ども「はー。なんだかだるいなぁ・・・」
親「だるいのね」→①繰り返し
子ども「うん。寝不足のせいだとは思うけどなんかだるい」
親「寝不足の影響でだるいと思っているのね」→②要約
子ども「うん。夜なかなか寝付けなくてついついスマホをやっちゃうんだよね」
親「確かに眠れない夜もあるね。スマホがあればやっちゃうのはわかるわ」→③気持ちを汲む
子ども「さすがにこの生活がずっと続くのはマズイと思う(笑)」
親「この生活がずっと続くのはマズイと思うんだね」→①繰り返し
子ども「まぁこのままじゃだめだからちょっと考えていかないとな(笑)
親「そうねぇ。困ったことがあったらいつでも相談してくれると嬉しいわ
▼「無理して学校に行かなくていい、は本当か」については別記事で詳しくお伝えしていますので、よければどうぞ▼
「親である自分にも関わる問題」について対話する方法
「親である自分にも関わる問題」に関しては、はっきりと親である自分の要求を伝えないといけません。
親だって、自分の欲求や快適に生きる権利を持っているんですから。
親がガマンすると、親の精神状態にも悪いし、子どももワガママになるし、親の気持ちにも無頓着になってしまいます。
かといって、「○○しないで!」「○○やりなさい!」「○○したら?」は子どもの自立心を奪うNGワード。
では、どうやって自分の気持ちを子どもに伝えたらいいのでしょうか。
その方法が「わたしメッセージ」です。
親である自分が、今の状況に対してどう感じているかを子どもに伝えるのです。
例えば、「リビングに子どもが食べたお菓子が散らばっている」という状況なら、、
- 頑張って掃除したばっかりなのに、散らかされたらガッカリしちゃうわ。
- 食べたお菓子をきれいに片付けてくれたら、とっても助かるな。
という言葉がけです。
「がっかりする」も、「助かる」も、主語は「わたし」です。
NGワードの「片付けなさい!」の主語は「あなた」になりますよね。(あなたが片付けなさい)
「わたしメッセージ」は、自分の気持ちを子どもに伝えるけれども、その状況に対してどうするかは子供に任されます。
わたしメッセージを使うことで、子どもに伝わるのは下記のようなことです。
- 子どもに責任を持たせていること
- 子どもがちゃんと対応してくれると親が信じていること
- 親の欲求を子どもが尊重してくれると思っていること
わたしメッセージで子どもに自分の気持ちを伝えるほうが、子どもの抵抗や反抗を生みにくいです。
子どもは「自分の行動が親に不快な思いをさせている」と言われるのは、もちろん嫌なことではあるけれど、非難がましく言われるよりはよっぽど受け入れやすいですよね。
「わたしメッセージ」の間違い例
「わたしメッセージ」も慣れないうちは、けっこう難しく使い方を間違ってしまうこともあります。
参考にその間違い例をご紹介したいと思います。
- 最後だけ「・・・と私は思う」とつけて、結局「あなたメッセージ」を送っている
- 「私は~に怒っている」といって、結局「あなたメッセージ」を送っている
「あなたは無責任だと私は思う」と言うのは、「あなは無責任だ」というあなたメッセージに、「私は思う」と付け加えただけのものです。
これは「あなたメッセージ」になってしまっていますよね。
また、「自分の正直な気持ちを伝える」というところで、「自分の怒り」を子どもにぶつけてしまうケースもあります。
でも、怒りが他の感情と違うのは、そのほとんどが他人に向けられているということです。
「私は怒っている」というメッセージは、だいたい
- ”あなた”に怒っている
- ”あなた”が私を怒らせた
ということを伝えることになります。
つまり「あなたメッセージ」となって相手に伝わります。
「怒り」という感情の前に、何か他の感情がありませんでしたか?
例えば、「リビングにゴミが散乱してるから私は怒っている!」という場合。
怒りを感じる前に、
せっかく頑張ってキレイに掃除したのに・・・(落胆)
という感情があって、フツフツと怒りがこみ上げてたのではないでしょうか。
なので、わたしメッセージを使うときは、自分の気持ちを良く観察して、その気持ちをそのまま子どもに伝えるようにしてみましょう。
この場合は、
せっかく頑張ってリビングを掃除したのに、こんなに散らかって、お母さんはガッカリ。
と伝えるのがいいですね。
「わたしメッセージ」でうまくいかない時の対処法
「わたしメッセージ」を使うと、下記のような問題にぶつかります。
- 子どもが「わたしメッセージ」を無視する
- 「わたしメッセージ」に子どもも「わたしメッセージ」で返してくる
まず、子どもが親が伝える「わたしメッセージ」を無視した場合は、さらに「無視しないでほしい。私は本当に困ってるの!」と一生懸命さを伝えてみましょう。
そして、「わたしメッセージ」に子どもも「わたしメッセージ」で返してくる場合。
たとえば、、
親「きれいなリビングが散らかって嫌になるわ。せっかくきれいに掃除したのにガッカリよ」
子ども「家のことをきれいにすることばっかり。本当に嫌になる!」
という会話。
子どもも自分の気持ちを聞いてほしいと思っているのです。
なのでこんな場合は、先ほどお伝えした「能動的な聞き方」で対応しましょう。
「能動的な聞き方」をすることで、子どもは親が自分の気持ちを理解してくれていると分かると、行動を変えてくれることも多いです。
能動的な聞き方をした会話をしたら、、
親「あなたは私がきれい好き過ぎると思うのね。だから私が口うるさくなるとおもっているんでしょ」
子ども「うん」
親「そうかもしれないわね。でも私のやったことが無駄になるのを見ていると、がっかりしてしまうの。今もこの部屋を見ると本当に嫌になっちゃうわ。」
みたいな感じになります。
子どもが望んでいるのは、「自分の感情を親が理解してくれること」です。
なので、親が自分の気持ちを分かってくれていると思えれば、「自分も親の気持ちを理解して行動しよう」という気持ちにもなるのです。
子どもが行動を変えない場合の対話方法
「わたしメッセージ」で親である自分の気持ちを一生懸命に伝え、子どもの気持ちに共感を示しても、どうしても子どもが行動を変えてくれない場合はどうすればいいのでしょうか。
- 親の威厳で子どもに従わせる
- 親が子どもの欲求に折れる
たいていこの2パターンに陥ってしまいがちですが、どちらも子どもに悪影響を与えてしまいます。
- 親に怒り、反発、嫌悪の気持ちを持つようになる
- 子どもが自分で解決策を考えられなくなる
- 臆病で神経質になる
- 思春期で親の依存度が減ると、親の権力はなくなり、反撃されるようになる
- わがままな子どもになる
- 友達関係がうまくいかない
- 子どもは親の愛情に不安をもつ(ワガママな子どもの態度は、親も嫌な気分になるから)
では、親の欲求と子どもの欲求がぶつかり合った場合、どうすればいいのでしょうか。
その方法は、「親子ともに合意した解決策を考える」というものです。
親だけ、子どもだけの一方が、自分の意見を押し通し勝つのではない「勝負なし法」という対話方法です。
- 親が「どちらにも受け入れられるような解決策を一緒に考えよう」と子供に言う。
- 親子で考えつく解決策をいろいろ出す。
- 親子で出てきた案をひとつひとつ考えて、どれが一番いいか選ぶ。
- 実際にやってみる。
- うまくいったか確認する。
【勝負なし法で解決した例】
親の要求:子どもに自分の部屋の片づけをしてほしい
子どもの要求:掃除は苦手だからやりたくない
解決案:子どもは料理が得意だから、週2回ほど夕飯をつくる。その代わり掃除が得意な親が週1回か2回ほど子どもの部屋の掃除をする。
このような解決をすることで、子供は自分だけでなく、親の要求も尊重できるようになります。
また、親から強制された解決策ではなく、自分も一緒に考えた解決策なので、決めたことを責任をもってやろうとします。
そして、「自分は信頼されている」と自信をもち、その信頼を裏切らないように行動するようになります。
まとめ:子どもの自立心を高めるコミュニケーション方法は難しいけど頑張る価値あり!
子どもと対話する時にまず考えたらいいことは、その状況が
- 子どもだけの問題
- 親である自分にも関わる問題
のどちらのケースに当てはまるか、ということです。
もし、「子どもが抱える問題」のケースなら、下記の方法で対話しましょう。
- はっきり何も言わない
- 子どもの話を促す
- 子どもの気持ちを推測して、その内容を子どもに伝える(アクティブリスニング)
そして、「親である自分にも関わる問題」のケースなら、「わたしメッセージ」を使って、親である自分が、今の状況に対してどう感じているかを子どもに伝えてみましょう。
「わたしメッセージ」を使っても、親子の意見対立は避けられないことも多いです。
しかし、親が力ずくで子どもを従わせたり、逆に、親が折れて子どもの意見を通してしまったりすると、悪影響を及ぼしてしまいます。
なのでその場合は、親だけ、子どもだけの一方が、自分の意見を押し通し勝つのではない「勝負なし法」という対話方法で解決するようにしましょう。
以上、今回は私にとってたくさんの学びがあった本「親業」から、「子供の自立心を育てる親子コミュニケーション方法」について、お伝えいたしました。
今まで全く傾聴、共感して子どもと対話できていなかった私には、今回ご紹介した対話方法がなかなかできませんでした。。
ひたすら子どもの話を聞く「アクティブリスニング」をしようと思っても、話を聞く中で「自分の考え」が頭をよぎり、気づけばその「自分の考え」を子どもに言ってしまってるんです。。
子どもと対話する中で、自分の考えが浮かんでも、
「ああ、私は今、こんな考えが出てきた。でも、それは子供に伝えてはいけない。今は子どもの気持ちになって聞くときなんだ」
と冷静に自分と向き合えるようになるには、けっこう時間がかかりました。
今でも気を抜いていたら失敗するし、難しいです。
それでも頑張ってやり続ける努力をする価値はあると、強くおすすめします。
この対話がだんだんできるようになると、子どもも自分で考えて行動できるようになってきたし、心地よい親子関係ができているからです。
なので、この記事が少しでも良い親子コミュニケーションのきっかけになれば嬉しいです。
▼「親業」に関しては、別記事でもお伝えしていますので、ご興味あればぜひ▼
読んでいただき、ありがとうございました。