「○○やった?」
「○○しなあかんやん!」
「早く○○やって!!」
、、こんなふうに、私はずっとイチイチ子どもの言動に口うるさく言ってきました。
そうすることが子育てと思っていたんです。
でも、それは子どもの生きるエネルギーを奪ってしまう行為だったということに気づいたのは、小4の娘が不登校になった時でした。
私は娘への過干渉で、娘のエネルギーを奪い、動けなくさせてしまったんだと思います。
私は私で子育てが本当にしんどくて、なぜかいつも子どもの行動にイライラ。
「こんなはずじゃ、なかったのに。。」
思い描く子育てとは真逆の現実に、私は苦しみました。
それでも今は、だいぶ心穏やかに子育てができるようになり、娘も再び学校へ行く一歩を踏み出せるようになりました。
私が自分自身を見つめなおし、親も子も苦しい子育てから解放されたのは、娘の不登校のおかげだと思っています。
その中で出会えてよかった本の一つ「気づけない毒親」を紹介したいと思います。
もし、昔の私たち母娘のように苦しい状況にいらっしゃるのであれば、ぜひ読んでみてください。
「毒親」ってやっぱり受け入れがたい言葉ですけれど、読めばきっと、気づきも多く、苦しい子育てから脱するヒントになるんじゃないかなと思います。
「気付けない毒親」のおおまかな内容
この本は、
- 「毒親」はどんな親なのか
- 毒親に育てられた子どもの影響
- 毒親の解毒方法
などが書かれています。
この本では毒親の定義を、「不安が強く、脅迫観念から子どもをコントロールしがちで、子どもの気持ちを思いやれない親」としています。
毒親の特徴は下記の通りです。
- 子どもを尊重したり、気持ちをくんだりする余裕がない
- 子どもに不平不満を言ったり、指示、命令をしてしまう
- ヒステリックになる
- 脅迫的に子どもを追い詰めてしまう
- 「マルかバツか」、「ゼロか百か」と考え柔軟性がない
- 「こうでなければいけない」という思い込みが強い
- 常に不安でいっぱい
- 子どもにむやみと我慢させる
- 夫婦の不仲を平気で見せつける
→そして子どもを消耗させてしまう親
毒親が子どもの気持ちを思いやれない理由は下記の2つです。
- 感情マヒ
- 「ねばならない」という脅迫観念
親の本来の役目は、「子どもを尊重し、安心させること」で、近代化以前の日本人はそのように子どもを育てていました。
しかし、昭和の時代に日本人は戦争という、極限まで過酷な状況を体験しました。
戦中、戦後の日本では、大人たちはみんな、とにかく生き延びるだけで精一杯で、子どもを尊重したり、気持ちを汲んだりする余裕を持つことが全くできなかったので、「我慢させ、大人の都合に合わせさせる」子育てが主流となりました。
そして子どもたちは、泣くと怒られ、怒っても怒られ、怖がると笑われ、喜んでも「はしゃぐんじゃない」と水を差されたため、「気持ちをありのまま感じて、あらわしてはいけない」と、感情を感じないように抑え込むようになったのです。
このように、生きるために「感じない」という選択をした結果が、①の「感情マヒ」という状態です。
感情マヒは、自分が何を感じているか分からない状態なので、すべてを思考で処理してしまうし、相手の気持ちを感じて思いやる、ということもできません。
この感情マヒは、下記のように親子代々引き継がれます。
親が感情マヒだと、子どもは気持ちをあらわして訴えても、親は「思考の正論」で返してしまう。
↓
子どもは「否定された」と傷つき、孤独を感じる。
↓
自分を守るため、生きていくために、子どもも感情マヒになる。
また、戦中・戦後を生き抜くために、
「頑張らなければいけない」
「我慢しなければいけない」
「急がなければいけない」
「競争に勝たなければいけない」
「優秀でなければいけない」
という考えが生まれました。
それが②の「ねばならない」という脅迫観念です。
このように、「毒」は、元をだどると、2、3世代前の戦争体験、まさに「死の恐怖」に行きつきます。
しかし、今の時代は頑張らなくても、優秀でなくても、怠けていても、競争に負けても、急がなくても、楽をしても、生きていけます。
そこで、毒親が毒を抜くためにすべきことは下記となります。
- 過去の自分と向き合い、感情マヒを解く。
- 「ねばならない」という考えを手放し、余裕をもつ。
子どもが言うことをきかなくて、イライラして仕方がないとしたら、実は自分が幼いころ、たくさん我慢をして「いい子」にしていたからです。
本当は自分も、子どものように自己主張したり、好き勝手に振舞いたかったけれど、できなかったのです。
そこに気づいて、自分が抑えてきた「本当の感情」を探って、向き合い、身体で感じることができると、「私も本当はこうしたかったんだ」と子どもに共感できるようになり、我慢してきた昔の自分も少しずつ癒されていきます。
そして、「ねばならない」と思い込んでいることを「今は違うのかもしれない」と疑ってみましょう。
今の子どもたちは、衣食住の確保に必死になっていた世代とは違って、もっと「人間らしい感情」を大切にしたいと思っているし、「自分らしい生き方」をしたいと願っています。
なので、親はゆったりと子どもの気持ちに寄り添い、思いやる余裕を持つことが大切です。
もし、子どもがひきこもりになっているなら、それは「ねばならない」と義務感で頑張り続け、疲れ切っている親の代わりに子どもが休んでいるのです。
そして、子どもは昭和時代が重視してこなかった「共感しあう」「分かり合う」「自分らしい生き方をする」といったワンランク上の幸せを求め、親にもそんな幸せを味わってほしいと願っています。
だから、親がそれに気づくまで頑固に引きこもり続けます。
なのでもし、引きこもっている子どもを元気にしたいなら、親が価値観を変え、もっと喜びや思いやりを重んじて、日々をゆったり過ごし、人生を楽しんで生きる必要があります。
親が変わって初めて、子どもも変わり始めます。
☆私の読解が間違えていたらスミマセン。。ちょっとした参考にしてもらえればうれしいです。
心に残った本のメッセージ
私が「気付けない毒親」を読んで、心に残ったメッセージをご紹介したいと思います。
子どもを「いい子」にさせて自分が安心したい親は、子ども時代に親に安心させてもらえなかったアダルトチルドレンです。
「わたしを安心させて!」という子どもの欲求を、大人になってから、自分の子どもにぶつけているわけです。
☆68ページより
子どもの問題は、過去の自分が抑圧してきたつらさや苦しさのあらわれです。
それがなかなか親御さんの腑に落ちないのは、ご自身が感情をマヒさせていて、過去の感情にフタをしているからなのですね。
子どもの気持ちを感じようとすると、自分自身の過去のつらい感情のフタを開けることになるので、どうしても無意識に避けてしまうのです。
☆85ページより
喜びを感じるには、本当にやりたいこと、ワクワクすることをする、自分自身を何かの形で表現する、ということが必要です。
生きづらくてしんどい、という方は、自分がずっと親に支配されてきて、親の価値観に合わせて、やりたくないことばかりやってきたのではないかと、疑ってみてください。
☆116ページより
子どもはひきこもることで、親に、「あなたがたは、義務感と脅迫観念だけで頑張っているけれど、生きる喜びがないし、世の中や他人を敵視して、不安と恐れにとらわれていますよ。本当にそんな生き方でいいのですか?」と問いかけているのですね。
☆140ページより
いま、子育てがつらいと感じる人がたくさんいますが、それは、過去の自分の本当の感情を封印しているせいで、「子どもに共感する」ことができなくなっているからです。
☆150ページより
動けなくなる人たちは、幼少期から、ずっと我慢してきたということ。
周囲の価値観、「ねばならない」に従ってきて、自分の本心や、本当にやりたいことを抑圧してきたということです。
周囲の強迫観念に圧倒されて、本当はやりたくないことをずっとやってきたので、喜びが感じられずに消耗するばかりで、ホトホト疲れてしまった、ということです。
☆154ページより
子どもの不登校や、ご自身やご家族のウツなどの症状は、自分が古い強迫観念にとらわれていることに気づくチャンスです。
☆156ページより
子どものことでお悩みの親御さん、「おかしいのは、自分のほうだったんだ」「自分が子供を傷つけていたんだ」「古い価値観を押し付けていただけで、もう時代は変わったんだ」そう気づいてください。
親の意識が変わって、子どもに共感できるようになれば、親子関係は、かならず良くなっていきます。
☆172ページより
「気付けない毒親」の目次
「気付けない毒親」の目次は下記の通りとなっています。
本の内容がだいたい分かるのではないかと思うので、参考にしてください。
Part1 毒親って、どんな親?
毒親度をチェックしよう
毒母のタイプ
毒父のタイプ
毒親夫婦の謎
part2 日本の子育てが、おかしくなっている
生きづらい大人が多いわけ
感情をマヒさせた日本人
親から離れたいのに、離れられない
「今ここ」で、子どもの気持ちに寄り添う
Part3 心配性で過干渉な親が子どもに呪いをかける
毒親後遺症いろいろ
親に本心を伝える
機能不全家族とアダルトチルドレン
引きこもりの子が、親に教えてくれること
親のかわりに子どもが休んでいる
目に見えない「神経疲労」に要注意
Part4 家族の関係をよくするために
親子バトルをひきおこす3つの原因
父親は、意外な盲点
親孝行って、しなければいけないの?
☆全191ページ
「気付けない毒親」を書いた人はどんな人?
お名前:高橋リエさん
母娘*謎解きカウンセラー
30代半ばの結婚・出産後、子育てにつまずき悩み、思春期になった子の不登校を経験し、自分が重度のアダルトチルドレンだと気づく。
自身の問題に取り組みながら心理療法を学び、カウンセラーとして活動を始める。
親の呪縛を解いて自由に生きることを目指す<自分再生*リバースカウンセリング>は口コミで広まり、主催するサロンには500名を超える女性が参加。
これまでに3000名を超える女性カウンセリングを行う。
☆著者紹介ページより抜粋
「気付けない毒親」で私が学んだこと、変わったこと
私が「毒親」っていうワードを初めて知ったのは、娘が不登校になって、ネットでいろいろと調べていた時でした。
「毒親」という言葉を知った時、「ああ、私ってもしかしたら毒親なんかも。。」なーんて思ったのですが、当時の私は自分が「毒親」ってはっきり認めるのが怖かったんです。
ネットで、この本の存在も知ったんですが、やっぱり読むのが怖くて読めませんでした。
「気づけない毒親」ってタイトルが、、当時の私には恐ろしすぎて(>_<)
そして、娘が再び学校へ行けるようになり、気持ちに余裕を持ててから、ようやくこの本を手にすることができました。
読んでみると、考えを変えてくれる言葉がたくさんあって、本当に出会って良かった1冊となりました。
私は「ねばならない」ばっかりで、心に余裕なく、今まで生きてきました。
そして、娘にもそれを押し付けてきました。
でも、本の中で「ねばならない」という脅迫観念は戦中・戦後を生き抜くために生まれた考えであって、今はもっと自分の好きなように、ゆっくりと過ごしても生きていける時代だと書かれていて、私は「確かにそうかも」と妙に納得したんです。
「成績優秀でないといけない」
「テキパキできないといけない」
「頑張らないといけない」
私はずーっとそう思い込んで頑張ってきましたが、確かにそうじゃなくても幸せに生きていける。うん。
逆に成績優秀だったとしても、頑張ってやってきたとしても、幸せじゃないひともいっぱいいるし。
そして、自分の子どもの頃を振り返れば、私はお母さんに「いい子」と思われたくて、自分のキャパ以上に頑張って苦しんでいたことにも気づきました。
スイミングは週に3回行って、ピアノも毎日頑張って練習し、塾にも週2回行って、お習字も好きじゃないのに行く、、
今でも、朝起きたときの「今日もツライことがたくさんある、、ああ、いやだな」とどんよりした気分を覚えています。
毎日がしんどくてしんどくて、、
そして、自分が母親になってみると、また苦しい。
この本を読んで、その苦しみは
「自分はいい子にして親を安心させていたのに、なぜ、あなたはできないの!!」
というイライラだということを知り、
「そっか、私も本当はこんな風に自由奔放に生きたかったんだ」
と今までと違った考え方をすることができるようになりました。
すると、気持ちがすーっと軽くなって、子どもにも「だよね、そうしたいよね。私もそうしたかったよ」と思えるようになりました。
この本で、「引きこもりの子は親に休んでほしいと思っている」と書かれていたのですが、本当その通りだと思います。
なぜかというと、娘が「学校にいつ行こう」と前向きな発言をしたのは、私が「イヤなことはしないで、やりたいことをやってみよう」と思い、実行してみた時だったからです。
そのきっかけとなった本はこちら▼
ひたすらAmazonプライムビデオで韓ドラを見続けました!!
私は「頑張っていない、何もしてない自分は価値がない」という考えがしみ込んでいて、ゆっくり座ってテレビを見ることすらできない人でした。
なので、ひたすら韓ドラを見続けるとかって、初めは抵抗もあるし、逆にそれを頑張らないとできなかったのですが、やってるうちに心が満たされて、軽くなってきたんです。
「もしかして、私に『もっとゆっくり、楽しく生きよう』と教えるために、この子は不登校になったのかも。なんとなく、もうすぐ学校へ行けるようになる気がする」
と思ったとたんに、娘が「学校にいつ行こう」と言ったんです。
すごいタイミングだったので驚いたのですが、「やっぱり」とも思いました。
「自分の好きなことをして、自分を喜ばして、ゆったり過ごす」ことの大切さに気付いた瞬間でした。
自分が子どもときに我慢して頑張って辛かったうえに、親になったら今度はそれが原因で子育てが辛くなる。。
なんかもう、切なすぎますよね。。
それでも、私は「我が子の不登校」をきっかけに、自分で自分にムチを打ってきた手を止めて、「もっと自由に、ゆったりと過ごしてもいいんだよ」と優しく抱きしめられるようになりました。
娘が自分の人生をかけて、そのことを教えてくれたことに感謝しています。
「気付けない毒親」はこんな人にオススメ!
今回ご紹介している『気づけない毒親』は、下記のような人にオススメしたい本です!!
- 子どもにイライラして、必要以上に干渉してしまう
- 子ども時代から「~ねばならない」と自分にムチ打って頑張ってきた
- 親の期待に応えようとずっと頑張ってきたけど、人生なんだかしんどい
- 子どもが不登校になり、悩んでいる
子どもに「よかれと思ってやってきたこと」が実は毒だった。
それを受け入れるのは勇気がいることがもしれません。
それでも、この本を読めば、その毒は戦中・戦後の「死の不安」から生まれたもので、自分のせいでも、自分の親のせいでもないことが分かります。
それを受け入れて、自分の中の毒を少しずつ抜いていけば、自分も、子どもも軽やかな毎日を送れるようになると思います。
子育てに苦しんでいる人に是非読んでもらいたい一冊です。
読んでいただき、ありがとうございました。